ARKクラシックス


f:id:gaganbox:20181010205831j:image
f:id:gaganbox:20181010205946j:image
f:id:gaganbox:20181010210011j:image

ARKとは赤坂と六本木の繋ぎ目のことを

言い、赤坂1丁目から六本木1丁目にかけて

の複合施設をARKヒルズと呼ぶ。

サントリーホールカラヤン広場、森ビル、

ANAインターコンチネンタルホテル東京

多くの施設がある。

春にはスペイン坂から桜坂まで続く沿道に

ソメイヨシノが咲き誇る。

 

この秋10月5日からヒルズ各施設でクラシックコンサートが行われている。

 

6日 X はサントリーブルーローズホールで行われたピアノトリオコンサートを視聴した。

ラフマニノフ(1873-1943)のヴォカリーズ、

ショスタコーヴィチ(1906-1975)の2つのヴァイオリンとピアノのための5つの小品と

ピアノ三重奏曲第2番ホ短調の3作品。

 

ロマノフ王朝崩壊後、レーニン率いる

ボルシェヴィキによる10月革命(現暦年では11月)が1917年起こり、後1922年世界初の共産党政権国家ソビエト連邦が樹立され、1991年のゴルバチョフ政権まで続く。

 

ヴォカリーズは1912年の作、歌詞の無い

母音のみの歌曲であることから様々な

ヴァリエーションで演奏される。

今回の演奏はピアノ三重奏曲用に編曲されたものによる。

ラフマニノフは革命政権を嫌い、北欧デンマークからアメリカに亡命する。

気難しいがリストの様に長身で手の大きい

彼はピアノの名手でもあり、アメリカでは

ピアニストとしても活動する。彼自身の演奏録音も多く残されている。作曲では短調の曲が多く、とりわけニ短調を好んだ。

 

ソ連という社会主義国家の圧政もとで、作曲せざるをえなかったショスタコーヴィチ

交響曲など国家国民の目に触れやすいものは体制に合致した作品を書くことを余儀なくされた。従わなければ粛清される恐れがあったから。

しかし室内楽では自身の思想や信条を自由に反映した浪漫溢れる曲が多く、20世紀の作曲家でありながら寧ろ19世紀のロマン派の系譜を想わせる。

 

スターリンの死後その抑制の度合いは軽減され、自由に作曲できるようにはなったもののサンクトペテルブルクで生れた彼は終生ソ連で過し生涯を終えた。

ショスタコーヴィチのピアノとヴァイオリンための5品の小品の内、プレリュードは哀感に充ちたメランコリックな旋律が胸を打つ名品。

軽快なリズムの中に哀調を帯びたワルツは美しく心に響き、流麗で哀感漂う有名なジャズ組曲第2番ワルツを連想させる。

最後のピアノ三重奏曲第2番作品67ホ短調

は急逝した友人に捧げられた曲で、

哀しみを湛えた重厚でロマン溢れる名曲。

 

2枚目の写真はサントリーホールで演奏中の

ものをカラヤン広場で映し出したもの。

曲目はチャイコフスキーの絃楽セレナーデ

 ハ長調

3枚目は飛び入り出演した、ザ・ベース・

ギャング(コントラバス四重奏)の生演奏の

様子。

後半のスクリーンビューは辻井伸行

ベートーベンのピアノソナタ第14番

嬰ハ短調月光、ユーリバシュメット指揮

によるモーツァルトの名曲、ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲変ホ長調K.364。

k364は第1楽章ホ長調の明るく華やかな曲調

が終ると、第2楽章はハ短調となり愁いを

帯びたヴィオラとヴァイオリンとの調べで

で始まる。深い悲哀に充ちたこの第2楽章は

胸を抉られるかのように切ない。

音楽三昧の半日だった。