ビルの谷間に沈む夕陽、星と月の輝き。
公園を彩る桜、昼休みに集う人々、色とりどりの車の流れ...
計算の手を休め、ふと窓辺により、外の景色を眺める。私の唯一の楽しみ、至福の時間。
随分と長い間、押し潰されたような狭い部屋
で私はひたすらキーボードを叩き計算を
し続けてきた。生きるために。
でも、もう終わりにしよう。
だって窓の外を眺めるだけが楽しみだなんて
余りにも切なすぎる。
何年も繰り返す同じような風景。
でも何一つとして同じものはない。
そんな風景と同様に、こうして
窓の外を眺める私自身も変わらないようで
ありながら身も心も絶えず変化しているに
違いない。