2018年10/9(火)~10/15(月)の1週間
六本木ヒルズ 森アーツセンターギャラリーで
夢のような展覧会が行われた。
ヴィオラ1、ギター1、チェロ1、ヴァイオリン18を含めた21梃のストラディヴァリウスがここに集結した。アンドレア・アマティ作のヴァイオリン1梃が加わりその展示品総額は何と約210億円。
アントニオ・ストラディヴァリはその生涯(1648?~1737)に1000~1200梃の弦楽器(主にヴァイオリン)を製作し約500~600梃が現存している。
生涯に渡り製作を続け50代後半~70歳代が黄金期といわれる。
以前2回ストラディヴァリ没後250年の1987年クレモナと2013年ロンドンのアシュモレアン博物館とで展覧会は行われているが、
今回はアジア初であり、展示されている楽器
をヴァイオリン奏者が実演することも又初の
試みであるという。
不可能と云われたこの展覧会を実現された
中澤代表の5年に及ぶ労苦と実行力に敬意を評したい。
又多くの方々に感動を与えて
くれた演出力にも感銘を受けた。
演奏者を交えての軽妙な司会振りにも好感
が持てた。
所有者にとって自身が所有するストラディバリウスを1週間手放すということは相当の負荷を与えるようだ。
所有者、演奏者はこの1週間、楽器が展示
されている近郊に宿泊されたそうだ。
1日手離すと気持ちが離れることがある。
“昨日はあんなに素晴らしい音を出してくれたのに今日はなぜこうなの”
それがストラディバリウスであるらしい。
演奏者を導き、導かれた演奏者により得も言われぬ音色を出すことが出来る。
今回展示されたものは全て知名度の高い名器ばかりであるが、一般的に知られる著名人では高島ちさ子氏所有のストラディヴァリ晩年の傑作ルーシー(数億円?価格は非公開)やZOZOTOWN代表前澤氏が数日前に所有したばかりの鮮やかなオレンジレッドを放つ黄金期の名器ハンマ(約10億円?購入価格は非公開)も提供されていた。
ハンマは宮本笑里による実演が催された。
この日Xは行けなかったが10日(水)と14日の
2度入場した。
10日前半は川久保賜紀のグレヴィル・アダムス・クライスラー(クライスラーの手に渡ったことからこの名がある)、ダ・ヴィンチ(名称の由来はレオナルド・ダヴィンチ)による
バッハシャコンヌの演奏の弾き比べで、
弾いた本人も驚く程違った音色だった。
後半は二村英二自身の所有であるステラ(ステラとはラテン語で星、星のように輝く音色から名付けられた)によりピッツィカートを使う
(主催者母上)のダ・ヴィンチによる演奏が行われた。
14日(日)は神尾真由子のモーラン・ルビノフ(ヴァイオリン奏者モーランとルビノフが所有し、現在は神尾氏に貸与されている)
サン・ロレンツォ(マリー・アントワネットのお抱えヴァイオリニスト、名曲第22番イ短調コンツェルトでも有名なヴィオッティが使用していた黄金期の名器)によりタイスの瞑想曲
とカルメン幻想曲(前半、後半交互に弾き
比べ)が演奏され拍手がなりやまなかった。
サンロレンツォ、クライスラー、ダヴィンチ、ルビノフ、ヴィオッティは宗次コレクション(CoCo壱番創業者宗次徳二氏の慈善活動)
により演奏者に無償貸与されている。
尚、余談であるがストラディヴァリウスのなかでも3つの特別な名器がありDAMと呼ばれる。Dはドルフィン、Aはアラード=バロン・ヌープ、Mはメサイアいずれもストラディヴァリ黄金期の1714~1716に製作されている。
この内ヤッシャ・ハイフェッツ(ロシア出身で1917年の革命を避けアメリカに渡った20世紀を代表するヴァイオリニスト)が長年所有していたドルフィンのみが現在日本音楽財団から諏訪内晶子に貸与され演奏に使用されている。
アラードは個人所有、メシアンはアシュモレアン博物館に所蔵。