1977年(昭和52)創業の昭和感満載の喫茶店。
椅子はレザー貼り、天井には煌めくシャンデリアと豪華な造りである。
ウェイトレスはやや腰が曲がりかけた昭和のお嬢様方でメイドカフェよろしくフリルの付いたスカートをひらひらさせながら、ばりばりで働いている。店内で流されている音楽は生憎曲名までは覚えていないが「相棒」の主人公がデビューした頃に唄っていた曲、
「アン・ドゥー・トゥワ~」、「かおるちゃん遅くなってごめんね」等々。まさに問答無用、完全無欠、ぶっちぎりの昭和歌謡である。どっぷりと昭和に浸れる貴重な喫茶店で、此処で流されているような曲は他の喫茶店では聴けないだろう。
喫煙する客はあまり見掛けなかったが全席喫煙可である。此れも今時珍しい。
年配の客はちらほら居るが、次々と令和の若いカップルが入って来る。一寸した昭和回帰現象か。
ならば、おお若人よ神無き後、没落せよ!没落せよ! 然る後に最高の頂であるニヒリズムの境地超人に到達するのだ。
新規のスタイリッシュなカフェに比べれば野暮ったい感じは否めないが何とも居心地が良
い。
デザートメニュー
写真は苺ミルクティーケーキと
野菜サンドウィッチセット
銀子
「私みんな聴いたことある曲だわ」
マサオ
「うん、わしも知っとるわ、花はおそかったってさー、彼女の好きな花やっと買い求めて見舞いに行ったら彼女死んどったって話じゃん。悲しいドラマや。でさー叫ぶんよ、"どんなに空が晴れてたってそれが何だって言うんだ、白い雲なんて大嫌いだ" って!
昭和やわ、哀しいけど面白い」
銀子
「その頃よりは遅いけど私の青春は六本木よ。ヒルズが出来る前はあの辺ごっちゃごっちゃしてたから、週末はバーやスナックを梯して飲み歩いていたわ、外人さんとね。で始発の電車で家に帰るの」
マサオ
「不良じゃん。でその外国人さんとは何かあったんかい」
銀子
「別に。いつも5、6人で朝までどんちゃん騒ぎして終わりよ」
マサオ
「空虚じゃのー」
銀子
「その空虚を求めていたのよ」
マサオ
「ほー大分哲学的なもんだ」
銀子
「マサオん家ここから近いじゃん。今から行こうよ」
マサオ
「そらハイスペックな実践哲学じゃ。素晴らしい」
とギャランで2時間程過ごしてから家に向かった。