聖路加タワーのレストラン 360度の大展望とフレンチフルコース

11月のある火曜日。ヨシピーとカヨちゃんは

聖路加ガーデンタワーのスカイラウンジレストラン「ルーク」でフレンチフルコースを楽しんでいた。ドトールルノアールなどの喫茶店でコーヒーを飲みながら長時間話したりしたことはあったがディナーといった少し格式ばったものは二人には初めての事だったので、どうせならちょっと洒落たお店に行こうやといってこのレストランを予約したのが2カ月前だった。その2カ月目が今日遂にやって来た。

47階にある天空レストランは360度の展望が楽しめる。

レストランのドアを開ければ東京タワー側、スカイツリー側のどちらの展望も窓なしで

楽しむことができる。テラス席もあるが11月なのでうすら寒くさすがに誰も居ない。

しかし何かの記念日なのだろう花束贈呈を行っていたカップルが2組程ありレストランスタッフに写真を撮ってもらっていた。

ヨシピーとカヨちゃんも屋上展望台に出てみたが221mと高い処にあるからか、以外と風が強く身体が震える程だったので二人は5分もしないうちにレストラン内に戻った。

 

レストラン内から見る外の景色
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レストラン内部

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先ずはシャンパンで乾杯

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オードブルやら、魚料理、肉料理と事細かに説明されるが、説明されるそばから次々と

忘れてゆくアニバーサリーフレンチフルコース    店内は仄暗く写真写りは良くない

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 夜景

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デザートセット
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ハイネケンビール
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最後はハイネケンビールで締めたがフルコースはさすがにきつい。カヨちゃんは美味しかったと言っていたが、ヨシピーはステーキの量が多すぎて胃もたれした。満腹になった二人は隅田川を見て、聖ルカ通りを歩き、カヨちゃんが好きな喫煙コーナーのある喫茶店ベローチェに入り、たわいもないことを喋りながらそこに閉店まで居た。蛇足だがカヨちゃんは喫茶店を”きっちゃてん”と言う。これを聞いた当初、ヨシピーは学生時代の下宿先の大家のおばちゃん(ちゃきちゃきの江戸っ子)が同じように“きっちゃてん”と言っていたことを思い出し笑ってしまった。わざと言っているのではないらしい。

カヨちゃんのしゃべりは品の良い顔立ちからは想像できないべらんめえ口調である。

性格はサバサバしていてどちらかといえば男っぽいのかも知れない。

“築地は私の庭だし、銀座だって同じようなものよ、いつでも案内するわ”

“じゃー銀座頼むよ、特に裏側だな”

 

さっきの”きっちゃてん”も笑えるがカヨちゃんはまだ若いのにガラケーを使っている。

全くもってガラパゴスなんだが美人だからそんなことは許そうとヨシピーは思っている。

「今時珍しな、ライン出来ないと不便だよ、インターネットはやらないのか」

とヨシピーが聞いたら

「家にはタブレットがあるから大丈夫よ、壊れてるけどね」

「壊れてるんかい、何もならんな」

「でも私もその内スマホデビューするから」と言っていた。

 

カヨちゃんのマンションはここから近い。ベローチェを出た時は風が強くなってきた。寒い寒いと手を擦り合いながら「銀座線で上野方面へ行くなら信号渡った乗車入口から乗ったほうがいいよ」と言って付いてきてくれた。ヨシピーは何故かキュンとしてしまった。

カヨちゃんはいつか山の上の天麩羅を食べるのが夢だと言っていたが、なんだそんなことかと思った。だからヨシピーは別れ際に、じやーこの次は御茶ノ水の山へ行こうやと言って別れた。どことなく切ない想いを残して。