大道芸

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嬉しいわ! 芸術劇場の前で踊れるなんて。
それにこんなに集まってくれて。

 

私はマミ。あちこち行くのよ。

昨日は大宮だったの。
ジャージでセクシーダンスだなんて

笑っちゃうわね。

本当はジャージ脱いで踊るつもりだったの。

でも空はあんなに晴れているのに寒いわ。

仕方ないわね4時過ぎだし、

明日はもう11月だもの。

だから私今日は脱げない。

一回りしてくるわ。準備運動よ。

縦笛を吹くセットもしなくちゃ。

 

さあ始まるわよ。

あらそこのお兄さん、良い男。

私のタイプだわ、付き合って!

私綺麗でしょう。

料理だって出来るわ、お掃除だって毎日

するし。

えー駄目なの、なぜ?

そう年が違いすぎるって。

でも年上の女は優しいのよ。

上手くリードしてあげる。

あーでも駄目なのね。

じゃあそこのおじ様はどう?

私の方が年下でしょう。

え、奥様が居るって。

やっぱり駄目か。

 

こんな私だって掴みたいのよ、

幸せな気持ちに充たされる時を。

解ってくれる?

でも掴めない、どうしても。

ずっと孤独な私。

運命なのかしら?きっとそうね。

いいわ今のままで、

あるがままに生きるしかない。

それに私には逃げてゆく幸せもないの

だから。

 

 *写真と文章の直接的関係は無い。