連続体仮説

‘可算濃度より大きく、連続体濃度より

小さい濃度は存在するか’

当時数学界をリードしていたゲッティンゲン大学ヒルベルトが1900年パリ国際数学者

会議で提起した23の問題の第1番に取り上げられた連続体仮説

カントールは存在しないと仮定した。

可算濃度とは自然数の無限集合、連続体濃度とは実数の無限集合。カントールは混乱を

避けるため、集合を大きさではなく濃度で表した。実数の無限集合の方が自然数の無限集合より大きいことは感覚的に理解出来る。

自然数は実数の一部に過ぎないから。

しかし、これを証明するのは難しい。

と言うより無限そのものに誰も近付かなかったのだから。

カントールはこれを‘対角線論法’という方法

を用いて証明した。実数全体どころか0以上

1未満の範囲でも証明できるという。

自然数に対して0<α<1の範囲の実数が1:1

対応出来ると仮定する。自然数は上から下

に無限に続く...実数は左から右へ無限に

続く...

自然数:実数0<α<1

     1     :  0.3426・・・

     2     :  0.6287・・・・

     3     :  0.5948・・・・

     4     :  0.4371・・・・

    ↓    :      →

上から対角線に沿って3,2,4,1を取り出し何らかの規則性を持たせて数値を変える。

例えば全て1を加えて小数点で表すと

0.4352・・・・となる。

こうして作られた無限小数は上記の対応表

には存在しない。なぜなら自然数1に対応

する数とは小数第1位が、2に対しては小数

第2位が、3に対しては小数第3位が、4に

対しては小数第4位が異なるから。

つまり自然数と1:1対応していないことに

なる。これは上記の仮定と矛盾するから

自然数の無限集合より実数の無限集合の

方が大きいことになる。では確かにそうで

あったとして、その間に集合はあるのか?

これが連続体仮説問題。

カントール自身はこの問題を証明出来なかったが、1940年クルト・ゲーデルが集合を扱う

ための標準とされるツェルメロ・フレンケル

公理系が無矛盾であるならば連続体仮説

公理系に加えても無矛盾であること、更に

その23年後ポール・コーエンはゲーデルとは逆に、ツェルメロ・フレンケル公理系に選択公理連続体仮説の否定を加えても

無矛盾であることを証明した。

要するに証明も反証も出来ない命題で

あるということでこの問題は解決した。